志貴が『六王権』の元に辿り着いたのと同時に、『血鍵闘技場』では

「着いたようだ陛下の御許に」

言葉少なげにマントを脱ぎ捨てた『影』が呟く。

「・・・そうか」

士郎もまた魔力補充用のグローブを一旦脱ぎ、コートのポケットにねじ込む。

「じゃあ始めるとしよう」

「ああ」

言葉も少なく士郎と『影』は互いに構える。

だが、二人に投影を行う気も影を呼び出す素振りも無い。

それも当然、二人にとって剣と影を単体で争わせる事など既に終わった闘争に過ぎない。

彼らがその雌雄を決するのは互いの鬼手とも言える世界で争わせるのが相応しい。

互いに手をかざし、詠唱を始めようとしていた。

五十六『聖戦』

「・・・・・・・(身体は剣で出来ている)」

「・・・・・・(全ては無より始まった)」

互いの起源を表す言葉を紡ぎだす。

「・・・・・・・(血潮は鉄で心もまた鋼)」

「・・・・・・(そこより表裏・陰陽産まれ落ち、光と影現れた)」

士郎の足元から紺碧の光が溢れ始める。

「・・・・・・・(数多の悲劇目の当たりにしてもわが剣は折れる事無くこれを全て防ぎ、ただ一つの悲しみも生み落とす事も無く。ただ一滴の悲嘆の涙にも暮れさせない)」

「・・・・・・(されども光が現に寄る辺得ても影は未だ寄る辺を求め探し続ける)」

『影』の周囲の影が広がり始める。

「・・・・・・・(守り手此処にただ一人、始まりの地にて全てをただ見守り続け道を切り開く)」

「・・・・・・(寄る辺無く故郷も無くただ彷徨い拠求める影達よ我に従え我に服従せよ)」

「・・・・・・・(我が理想は仮初、されどそこに在る想いだけは真実なる我が生涯において追い求められる意義などこれただ一つ)」

「・・・・・・(さすれば与えよう汝らの故郷を)」

「・・・・・・・(全ての始まりにして、全ての終わりを司り)」

「・・・・・・(望むならば求めよ欲せよ)」

「・・・・・・・(全ての安らぎの地にして全ての終焉の場所を指し示す)」

「・・・・・・(そして呼べかの地の名を)」

光と影が今にも暴発しそうな勢いで膨張を続けていく。

そして

「・・・・・・キングダム・オブ・ブレイド全ての故郷たる剣の王国を守りし王たらん事のみ)」

「・・・・・・シャーテン・ライヒ(偉大なる影の帝国を)」

同時にそれは爆ぜた。

士郎の足元の光は周囲を紺碧の光で包み込み、『影』の周囲からは影が瞬く間に全てを飲み込む。

そして生まれたのは二つの世界。

片や、紺碧の光に包まれた剣達の謁見の間、全ての剣の故郷たる地、固有世界『剣の王国(キングダム・オブ・ブレイド)』。

片や、弱々しい太陽がかろうじてその存在を知らしめさせる居城と無数の砦、影の安息の場、固有世界『影の帝国(シャーテン・ライヒ)』。

二つの固有世界は完全に並び立っていた。

「・・・俺達は何もかも似た者同士だな」

不意に『影』が呟いた言葉に士郎は肯定も否定もしない。

そんな事は判りきっていた事だった。

剣と影、違いはあるが互いの能力はそもそも『創る者』。

それを長い年月の修練を重ねて、天より与えられた才覚を磨き戦闘向けに変えてきた、それだけに過ぎない。

そして二人の生き方もまた似たものだった。

お互い己に省みる事等無頓着、我を捨て他者の幸福に至上の価値を見出してきた。

だが、この二人に違いを見出すのならばそれはただの一点。

片や自分以外の全ての人々を守り助ける事を目指した末に衛宮士郎が辿り着いた究極の一。

もう一方は自分以外のただ一人の主君にその忠を尽くし、その結果『影』が行き着いた究極の一.

他者それを指すものその違いだけだった。

無視された形の『影』だったが、失望も激怒も無い。

もとより返事など期待していない。

その代わりに士郎は足元から夫婦剣『干将』・『莫耶』を引き抜き、それに続くように床から壁や柱からも、さらにはそれでもまだ足りぬと言わんばかりに士郎の背後の空間からも剣がその姿を現す。

一方の『影』も片腕を上げるや全ての砦の門は開きそこから次から次へと影の軍勢が歩を進める。

その数が以前の戦いはおろか、士郎は知らないだろうが英霊エミヤとの闘いをも遥かに凌駕する。

互いに判っているのだ。

この相手は自分と同じ領域に足を踏み込んだ『無限』の持ち主。

目の前の敵を倒すには自分の全てをもって、それも限界を超えるまでぶつけなければ勝てる筈も無い。

その確信を旨に二人は互いの敵を見る。

「・・・行くぞ『影の王』」

「行くぞ・・・『剣の王』」

『戦争の準備は万全か?』

その言葉を待っていた様に影の軍勢は王国への侵攻を始め、剣の軍団は王を害さんとする敵を殲滅せんと降り注ぐ。

ここに剣と影、二人の王の最後の聖戦の幕が上がった。

 

一方、玉座の間では

「・・・」

「・・・」

静かに互いを見続ける志貴と『六王権』。

だが、それは静かに破られる。

「・・・もはや私を『陽』とは呼ばぬか」

「その呼び名はお師匠様だけが使うもの。俺が使うには相応しくない。お前こそ俺を『陰』とは呼ばなかったな今」

「ああ、お前はあくまでもあいつの意思を受け継いだ者。あいつではない」

それっきり口を閉ざし、互いを見つめる。

「・・・もう止めにしないか」

やがて口を開いたのは志貴。

「仮にお前の言うことが正しいとしても人を裁く資格がお前にあるとは思えない。人を裁けるのは人のエゴや自尊で滅ぼされたもの達だけだ。お前じゃない」

「・・・例えそうだとしても私は進む。この命を残してくれた主君に応える為に、何よりも私に今日までついて来てくれた我が側近達の為に」

「そうか、ならば俺もお前を止める、俺の帰りを信じ待っている妻達の為に。俺に全てを託してくれたお師匠様の為にも」

静かに玉座から立ち上がり不退転の決意を口にする『六王権』と、もはや自分の体の一部になった『七つ夜』を構え魔眼を解放し止める事を宣言する志貴。

「止めるか・・・よろしいでは止めてみよ。私はそれを打ち砕いてでも・・・進む!」

「進むならば・・・俺は全てを殺す!」

初めて殺気が互いから吹き上がる。

士郎と『影』の戦いから数分後、全てに決着をつける為、聖戦の幕が此処に上がった。

 

そして時はやや遡る。

志貴と士郎が戦いを始める直前。

人類側の重要拠点の五都市には緊張が高まっていた。

無人偵察機が各都市に向う『六王権』軍を遂に捕えた。

数え切れない量の輸送兵器がそれぞれに向い驀進している。

報告を受けて各都市に配備された空軍が次々と出撃、『六王権』軍へと迎撃に向う。

既に今まで欧州の空を支配していた『六王権』軍空軍もなく空は完全に人類側が支配していた。

しかし、それでも全滅させる事は難しい、いや不可能だと言う事は当事者全員の共通した心境だった。

何しろ数が多すぎる。

それぞれの都市に向っている『マモン』の数は百や二百で効く数ではない。

どう見てもその数は千を超えている。

戦後判明した事だが、この最終決戦で『六王権』軍が投入した『マモン』は合計で一万五十台、兵力は推定一億以上。

これだけの戦力を五分割して『六王権』軍は投入してきた。

それも予備戦力も配備せず、この決戦に全ての戦力を投入してきた。

その事実は知らぬまでも予測を大きく超えて現れた戦力に一堂は戦慄した。

フランス、パリ。

昨日休暇から戻りその足で臨戦態勢に入った凛達もその一人である。

既に魔法少女姿に変身し、アルトリア達や『クロンの大隊』共に最前線に陣取っている。

考えうる限り人類側の最大戦力の一つであるが、その彼女達でも無人偵察機から送られてきた映像には声を失った。

それでも己を奮い立たせ『六王権』軍の接近を今か今かと待ち構える。

しかし、いよいよ直にその眼で確認できた時、想像を超越したその軍勢に体の震えを止める事が出来ない。

許されるならば何もかも放り投げて逃げ出したい、そんな心境に一瞬で追い詰められてしまった。

それでも此処に踏みとどまるのは敵の本拠地に向っている、もしくは到着し戦おうとしている士郎の存在だった。

ほんの二日前の結ばれた時の記憶が彼女達に勇気を与えてくれている。

「あっ、もう情けないったらありゃしないわね」

己を鼓舞する様に自分自身に喝をいれて手に持つカレイドアローを強く握り締める。

「可能な限り薙ぎ払うわ。後は皆お願い」

短くそれだけ言うとカレイドアローを手に飛翔しようとする。

その時、

「ふむ、ずいぶんと肩に力が入りすぎているようだが『どんな時でも余裕をもって優雅たれ』が遠坂の家訓ではなかったのかな?」

その場の全員・・・正確には『聖杯戦争』に参加した者達・・・・の時が止まった。

記憶が確かならばその声は聞ける筈の無い人物のもの。

そんな中、凛は意識してなのか、それとも無意識なのか当然のように返事を返す。

「・・・そんなに私の肩に力が入っているように見えたのかしら?私を誰だと思っているの?」

「そうだな、どうやら私の見間違いだったようだな。死者の大軍如きで君が怖気づく筈もないからな」

「あいも変わらず一言多いわね。改心したんじゃなかったの?」

「これは性分と言うものだ。生前はずいぶんと押さえ込んでいたのでね。君の猫かぶりと同じ様に」

そう言って赤き外套を翻し、彼は一歩前に立つ。

その鋼の如し背中を見間違える筈もなかった。

「来るぞ、もう直ぐだ」

確かに射程圏内に突入しようとしている。

後数分で、全面的な交戦に突入する。

初撃を仕掛けるならば今しかない。

「オッケー、最後まで付き合ってくれるんでしょう・・・アーチャー」

凛はあえて彼を『聖杯戦争』でのクラス名で呼んだ。

「当然だともマイマスター」

彼も当然のように凛をマスターと呼んだ。

「抑止の守護者として・・・いやそれ以前にエミヤとして戦わしてもらうさ。守りたいものを守る為に」

そう宣言する英霊エミヤ。

「・・・アーチャー・・・・いえシロウ・・・」

「セイバー、話は後回しだ間もなく来る」

アルトリアの声にもエミヤは視線を向ける事は無い。

そしてアルトリア達も前方に視線を転じて構える。

「すまないが初撃は私と凛に譲らせてもらう。凛、君は可能な限り撃ちまくってくれ。接近してきた敵は私達でどうにかする」

「無理する事はないわよ。戦っているのはここだけじゃないんだし」

「・・・ふっ、そうだな、無理をする事は無いか・・・」

そう言い、投影で弓を造り、異様に捻じれ曲がった剣を矢として番える。

同時に宙を舞った凛はカレイドアローを構える。

「・・・偽・螺旋剣(カラドボルグ)!!」

「キャノン!!」

放たれた矢と魔力弾が『マモン』を死者諸共爆砕する。

それが引き金となったように後方から迫撃砲が豪雨の様に降り注ぎ『マモン』をひっくり返す。

接近してきた敵には魔術師達が国連軍が戦闘を挑む。

同時期セビーリャでは

「はーーーっはっはっはっ!!」

豪快な高笑いを轟かせながらイスカンダルが『神威の車輪(ゴルティアス・ホイール)』で『マモン』を吹き飛ばして突き進む。

「おーお、良くやるぜあのおっさん」

「クー・フーリン殿、征服王が次々と分断していきます。我々も」

ディルムッドの指摘通り、イスカンダルの再三の突撃に『六王権』軍は次々と細かく分断されていく。

「おうよ!存分に楽しもうぜ!!」

そこをディルムッド、セタンタがそれぞれ直接乗り込み、死者を次々と殲滅し、無人となった『マモン』の方向を強引に変更させて、『マモン』同士をぶつけていく。

それでも生き残った死者もいるがそれもバゼット、宗一郎が一撃で粉砕していく。

しかし後方にはまだまだ大量の『マモン』が突き進んでくるがそれに天罰の如く降り注ぐのはメディアの魔力弾。

狙いを定める必要等無いほど密集した『マモン』の大軍を破壊していく。

モスクワでも

「全艦一斉砲撃」

「いっくわよースフィア!」

フィナ、青子の支援砲撃が『マモン』を吹き飛ばす。

「さてとでは久しぶりにこいつを振るうか。全盛期に遠く及ばぬが多少はましだろう」

そう言ってゼルレッチが握るのは彼の愛剣『宝石剣ゼルレッチ』。

本来の担い手によって振るわれるその一閃は無限の平行世界から魔力を受けて極大の一閃となり『マモン』の集団を消滅させた。

「はいはい、ご苦労さんやったのー」

その砲撃を掻い潜った『マモン』もコーバックの『永久回廊』に勢いのまま突入、トラップに巻き込まれて爆砕していく。

プライミッツもまた、戦場を縦横無尽に駆け回り死者を殺し、『マモン』を破壊していく。

イスタンブールでは

「やあああああ!!」

「てりゃあああ!!」

アルクェイド、アルトルージュ二人の姫君が単身『マモン』に突っ込み、爪で引き裂き、片手でひっくり返し、次から次へと死者を『マモン』から引き摺り下ろす。

死者達は二人・・・ではなく、イスタンブール目指して突き進むがその動きは当然遅い。

戦場において遅い、ましてや密集した敵など的でしかない。

「いっけー!」

二閃・鎌鼬―

「くらっちゃえ!」

―居閃・烏羽―

双子姉妹の霊力を乗せた斬撃が、

「枯れ尽くしちゃえ!」

「奪い尽くされたいのですが!あなた方は!!」

さつきの庭園は十体単位で、秋葉の檻髪が百体単位で滅ばされる。

「彼女達に負けて入られませんよ!!全部隊攻撃!」

エレイシアの号令の元浄化性能を持つ弾丸が、手榴弾が無反動砲が叩き込まれていく。

だが、そんな一堂の中でも一際目立った功績を挙げているのは総攻撃が始まるぎりぎりのタイミングで戦線に復帰したメレムだった。

「グランスルグ、君はもういないんだ・・・寂しくなるね。だけど僕は姫君の為、力の限り戦わせて貰うよ。君が最も度し難いと言った忠をもって」

右足の悪魔の上に乗り無慈悲に死者毎『マモン』を踏み潰していく光景を見ながらポツリと呟いた。

何処でも序盤は優勢で『六王権』軍を押しているが一つだけ例外があった。

ロンドン・・・正確にはドーヴァー海峡での迎撃戦だった。

何しろロンドンには現状主戦力である戦力が存在しない。

その分、国連部隊が多く駐留していたが、参加している魔術師達の実に三割が実戦経験に乏しく、この決戦が始まるまでは後方に配備されていた。

言葉を飾らずに言えばいわばお荷物だった。

それだけロンドンの防衛がバルトメロイ率いる『クロンの大隊』、アルトリア達英霊、凛達五人の魔法少女、そして士郎、彼らに依存しきっていたのかが良く判る。

ウェイバーもその危惧は士郎が一時離脱した『第二次倫敦攻防戦』で予感し上層部に後方部隊を前線に配備するように協会上層部に訴え続けてきたのだが聞く耳を持たずまともに取り合おうともしなかった。

そのつけが今になって出てきていた。

国連軍や実戦経験豊富なフリーランス傭兵魔術師部隊は善戦していたが次から次と押し寄せる『六王権』軍を前にして遂にドーヴァー海峡を放棄、後方のカンタベリーに部隊の集結を計る。

それを追う様に続々と上陸する『六王権』軍だったがそれは唐突に現れた。

「ふんっ!!よもやこの我が雑種以下のゴミ溜め掃除に駆り出されるとは・・忌々しい偽者(フェイカー)め!!」

一人はこの時代には不釣合いなほどの黄金の全身鎧を身につけた赤眼の男。

もう一人は黒い全身鎧・・・闇を固めたような負の怨念に満ちたものではなく、夜を磨き上げたような美しい輝きの・・・を身につけた黒髪の美丈夫。

「そうか・・・傲慢なる英雄王よ。私は感謝している、錬剣の守護者に。二度三度と不忠を働いたわが身が、この腕が我が剣が未だに人の為に、何よりも我が王の為に戦えるのだからな」

それは英霊エミヤが世界とのバックアップを持っていたからこそ行えた荒業だった。

『影』との闘いで重傷を負ったエミヤだったが、ただ、惰眠を貪っていた訳ではない。

次に眼を覚ました時おそらく、今までとは比べようのない激戦になる、そんな予感を胸に彼は更なる戦力を求め、二人の英霊を呼び付けた。

無論世界や『座』など様々なものに話をつけた上でだ。

二人のうち片方は納得したが、もう片割れについては説得する気がなかったエミヤはある薬を強引に飲ませた。

この効果で子供に戻った彼と契約を交わし、それに従って彼は子供の姿のままでこの地に降り立った。

では何故今成長した姿なのかと言えば、なんと言う事はない薬の効果が切れただけである。

効果も切れたのだからここから姿を消してもいいのだが、妙な所で律儀と言うのかそれとも、いや、間違いなく世紀単位であるかないかと言う気まぐれで彼の言う『ゴミ掃除』に付き合うことにした。

「ふん、言っておくが狂犬、我はここから動かぬ。我は我に楯突こうとするゴミ溜めしか掃除はせぬ。他は貴様が掃除するが良い。狂犬らしく駆けずり回ってな」

第四次聖杯戦争での印象が強烈なのか、かつて彼を指した蔑称で呼ぶ。

もはや今の彼の印象は狂犬とは程遠いのだが。

だが、彼はそれに特に反応するでも、反発するでもなくただ一言だけ

「ああ、そうするとしよう」

そう言うと何処で手に入れたのか、傍らに着陸していた対地攻撃ヘリに乗り込むや、計器類に手を触れる。

それと同時に黒い瘴気がヘリを覆い、ヘリのローターは回転をはじめ、やがて離陸を始める。

「行くぞ・・・全ては私を信頼してくれた守護者に報いる為に・・・我が王の為に!!」

そう一言叫び『湖の騎士』ランスロットの操るヘリは突き進む。

無論今ヘリが動いているのはランスロットの宝具、『騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)』の力でだ。

甲高い轟音を轟かせてヘリは低空飛行で機関砲を乱射、彼の魔力を帯びた弾丸は一回の掃射で数台の『マモン』を死者諸共貫き爆発炎上させる。

そして、

「我が誰と知らず来るか・・・この不心得者が!!ゴミ共!!真の地獄を見て煉獄に墜ちるがいい!」

そう叫び英雄王ギルガメッシュもまた背後から空間の歪みと共に現れた宝具の原典を射出。

一つで十台の『マモン』を貫き、爆砕する。

「はーーーっはっはっ!!足掻けゴミ共!!それが貴様らに許された唯一つの贅沢よ!!」

傲慢そのものといえる高笑いと共に『六王権』軍はその進行速度を急速に遅くなっていったのだった。

『蒼黒戦争』最終決戦は各地で火蓋が切られた。

これがどのような結末を迎えるのか・・・それは誰にも判らない。

五十七話へ                                                               五十五話へ